社会人になったり就職したからといって生命保険が必要なのかしらべてみた

日本の文化なのでしょうか?
社会人になると親や周りの人たちから生命保険の加入を勧められることが多くなります。
でもそんなに慌てて生命保険に入る必要があるのでしょうか?しらべてみました。

おもな生命保険とその必要性

生命保険は内容によっていくつかの種類に分かれます。
ここからはひとつずつその内容と必要性をしらべてみます。

死亡保険

被保険者が死亡した時や高度障害状態になった時に保険金が支払われる保険です。

当然のことですが、この保険は多くの場合被保険者本人が受け取ることはありません。
新社会人のほとんどが独身であると考えれば、残される人への保障となるこの保険は次のような場合を除けば慌てて準備する必要ないかもしれません。

  • 既に結婚していて養う家族がいる場合
    自身に万が一のことがあれば家族のその後の生活に大きな影響を及ぼすことになりますので、少なくともこどもが大学卒業できる程度の保障を準備する必要があるでしょう。この場合の保障は一生涯必要なものではありませんので割安な保険料で一定期間の保障を準備する定期保険が有効だと思います
  • 終身継続する保障(俗に言う葬儀代)を準備しておく場合
    将来必要になるであろう保障の準備を収入が安定しているうちに完了させれば、仕事をリタイアしてからの保険料負担を軽くすることができます。この場合、大きな額は不要だと思いますので、最低限必要になるであろう金額を払い済みタイプの終身保険で準備する方法が有効だと思います
払済終身保険では保険外交員が「少し大きな保障にしておけば退職後一部解約して返戻金を受け取ることが出来ますよ。それを退職記念旅行や家のリフォームに使っては?」などと言って勧めてくるケースがありますが、新社会人の方が退職するのは約半世紀も先のはなしです。
そのために今節約を強いられては本末転倒ですので、もしこの保険に入る場合は必要最低限の額で十分だと思います。

医療保険

被保険者が病気やケガをしたときに給付金が支払われる保険です。

社会人になれば健保組合や協会けんぽなどの健康保険に加入することになりますので、高額療養費制度により医療費の自己負担額は一定額までに抑えることができます。
仮に標準報酬月額が26万円以下であれば自己負担限度額は57,600円です。
そう考えると医療保険は必要ないように感じますが、逆に言えば1か月に57,600円かかってしまう場合があるということになります。しかもこの上限額は保険診療分に限られますので、もし入院することになり健康保険の対象外である差額ベッド代などが発生してしまうと負担はさらに大きくなります。
そう考えると、ある程度の治療費が無理なく払える程度の蓄えができるまで、最低限の保障を準備してもいいかもしれません。

おすすめは入院給付金日額5,000円くらいの掛け捨てタイプの医療保険です。
このくらいの保障額でしたら保険料を安く抑えられると思いますので。
また、月々1,000円前後で入れる共済も選択肢のひとつになると思います。

がん保険

被保険者が「がん」と診断され治療する際に給付金が支払われる保険です。

2人に1人が「がん」になると言われる時代ですので検討する価値がある保険と言えるでしょう。
ただし、入院・通院の保障がしっかりしていればその他の特約などをつける必要はあまりないと思います。「健康保険の対象となる治療以外は保障されない抗がん剤治療のための特約」や「2カ月に1度しか給付されない放射線治療のための特約」、「女性特有のがんを対象とした特約」など各種ありますが、それらの治療のほとんどは入院給付金や通院給付金の支払対象ですから。
もしプラスするのであれば診断時に一時金が支払われる特約でしょう。入院準備のための費用や当面の治療費として使用することが出来ます。
新社会人になった時点では、割安な保険料で一生涯保障が続く終身タイプのがん保険(基本保障)を検討してもいいかもしれません。

最近、若いうちであれば毎月500円以内の変動する保険料でがん診断時に80万円支払われる後払いタイプのがん保険も発売されました
この保険は、もし契約者の中にがん罹患者が発生し一時金を支払った場合、それにかかった費用を他の契約者がわりかんで支払う仕組みになっています。一定年齢までは毎月上限500円以内の金額で続けられる保険ですのでこのようなものを使って準備してもいいでしょう。

就業不能保険

被保険者が病気やけがで働けなくなったとき毎月給付金が受け取れる保険です。

働くことができない状態になり一定期間を経過すると保険会社の決める範囲内で契約者が選択した給付金が支払われる商品ですが、この保険を考える場合も医療保険と同様に健康保険のことを合わせて考える必要があるでしょう。
「突然病気などの理由で働くことが出来なくなり収入が途絶えることになったら」と考えると不安になりますが、会社で加入する健康保険には傷病手当金という保障制度があります
それにより休業4日目から1年6ヵ月までの間標準報酬月額の2/3相当の額が給付されますし、勤務先で加入する健康保険によっては給付金額の上乗せや給付期間の延長をしてくれる場合がありますので、もし働けなくなったとしても直ちに収入がゼロになるわけではありません。
生命保険への加入を考えたとき、特別の事情がなければ優先順位は低い保険かもしれません。

個人事業主等で社会人生活をスタートした場合に加入する国民年金には傷病手当金という制度がありませんので、そのような方はこういった保険を活用すれば収入が減ってしまった時の準備をすることができるでしょう。

介護保険

介護が必要な状態になったときに給付金が支払われる保険です。

2000年に公的介護保険スタートし20余年がたちましたが、その内容はこれまでに何度も改訂されています。
そのような状態ですので、介護状態になってしまった時にかかるであろう費用を個人で準備する目的でこの保険があるのですが、ほかの保険に比べると割高で内容も決して優れているとは思えません
新社会人の方たちが年齢を原因とする介護状態になる可能性があるのはまだまだ数十年も先のことですので、その間に公的介護保険はさらに制度改定があるでしょう。
そうなれば民間の介護保険も変わり今よりもっと有効に使える保険ができると思いますので、若い年齢で加入する必要はないかもしれません。

個人年金保険

保険料払込期間中に支払った保険料を原資として将来年金が支払われる保険です。

将来の公的年金の行方が不透明な中、満期まで保険料を支払うことで決まった金額を年金として受け取ることが出来る確実性の高い保険として人気がありますが、今は金利が低いこともあり運用面からみるとそれほど率のいいものではありません。
また、もし将来インフレになればその資産価値が減少してしまう可能性がありますし、何らかの理由で満期まで継続せず解約した場合には元本割れのリスクもあります。
この保険は、途中解約せずに続けられる見込みが立った時に考えればよいかもしれません。

もしこのタイプの保険に加入する場合、「個人年金保険料税制適格特約」が付加されたものを選べば、年末調整や確定申告で「個人年金保険料控除」により所得税や住民税の負担を軽減することが出来ます。

さいごに

今回は新社会人にとって必要かもしれない生命保険についてしらべてみましたが、社会人になったからという理由でどうしても入らなければならない生命保険は見当たりませんでした。

ただし生命保険が全く必要ないということではありません。
医療保険やがん保険など早い段階で検討すべき保険もありますし、死亡保険などライフステージの変化で必要になってくる保険もあるでしょう。

これからの長い人生において多かれ少なかれ生命保険と付き合っていくことになると思いますが、周囲の人の意見に必要以上に影響されることなく、その時自分にはどんな保障が必要なのかをしっかり考えて納得のいく保険を選ぶことが重要だと思いました。

 

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