「焼香の回数」「香典の金額や表書き」「服装」
葬儀には故人の宗教によっていくつかの異なった形式があります。
今回は、もし葬儀に参列することになったとき慌てることがないように、儀礼の基本を仏式・神式・キリスト教式など宗教ごとの違いも含めてしらべてみました。
訃報を受けたら
訃報を受けた場合、故人と親しい間柄でしたらできるだけすぐに駆けつけましょう。人手が足りないようでしたら手伝いを申し出たり、そうでなければあまり長居をせず失礼するようにします。
故人との関係が特に親しいとまでは言えない場合は通夜・葬儀まで待って参列します。事情で参列できそうにない場合はとりあえず弔電を打つかをしましょう。そのうえで後日、あらためて弔問するようにします。
供花・供物を手配する場合は喪家が辞退する場合もありますので、受けてもらえることを事前に確認してからにしましょう。葬儀社や生花店に手配するのが一般的ですが、最近はネットで発注するケースも増えているようです。
お通夜に出席する
お通夜とは、夜通し灯りを消さずに故人との別れを惜しむ儀式であり、葬儀・告別式の前夜に行われます。
本来、故人の家族や親族、友人など親しくしていた人たちが集まり故人の冥福を祈り別れを惜しむよう行われていましたが、現在では仕事を終えてからでも参列できるため、日中行われることが多い葬儀・告別式に出席できない人が故人に会えるようにする会という側面も強いようです。
服 装
男性・女性共に黒っぽいスーツであれば問題ありません。
女性は他に黒のアンサンブルや地味な色のワンピースであっても問題ないでしょう。
学生の場合は、制服があればそれを着用し、制服がない場合は黒やグレーなど地味な色の服を着用します。
靴やバッグは黒のものを選びアクセサリーを身に着けることは控えましょう。
式の流れ
仏 式(=通夜)
- 受付で香典を差し出し記帳し着席します
- 僧侶が入場し読経が始まりますので、その後喪主から順次焼香します
式が終わると地域によっては通夜ぶるまいが行われます。
通夜ぶるまいには故人を弔う意味と同時に弔問に対する遺族のお礼という意味がありますので、招かれた時は固辞せずに参加するようにしましょう。
神 式(=通夜祭)
- 受付で香典を差し出し記帳します
- 手水の儀を行って着席します
- 神職が入場し祭詞を奏上しますので玉串奉奠・拝礼を行います
式終了後は直会(なおらい)が行われます。これは仏式の通夜ぶるまいと同様に弔問に対する遺族のお礼という意味がありますので出来れば参加しましょう。
キリスト教式(=前夜式)
本来キリスト教では通夜は行いませんが、日本では仏式の通夜にならい前夜祭を行います。
- 受付で香典を差し出し記帳します
- 聖歌や賛美歌の合唱、聖書の朗読、お祈りの後、献花を行います
仏式の通夜ぶるまいのようなものはありませんが軽食が用意されている場合もあるようです。
葬儀式・告別式に参列する
現在では「葬儀」のひとことで表現することも多い「葬儀式」と「告別式」ですが、これらは本来2つの異なる式の名称です。
それぞれ「葬儀式」は、家族や親族が故人の冥福を祈り見送るための宗教的な儀式であり、「告別式」は家族や親族以外の親しい関係だった人たちとお別れをする宗教的な儀式を行わない式なのですが、現在では区別せず一連の流れで「葬儀」と称して行われることが一般的になりました。
服 装
喪主や遺族など葬儀の主催者は正喪服や準喪服を着用します。
一般の弔問客は準喪服であれば間違いありませんが、 「平服でお越しください」といった案内がされた場合には略式喪服でもよいでしょう。
式の流れ
仏式・神式・キリスト教式のいずれも受付で香典を渡し記帳したうえで着席し開会を待ちます。お通夜で香典を供えている場合はここでは香典を用意する必要はありません。
宗教ごとの儀式を厳かに行い故人の出棺を見送ります。
仏式=葬儀・告別式
お通夜同様僧侶による読経が始まり、その後喪主・家族・親族と順次焼香します。
告別式が終わると出棺です。出来るだけ最後までその場に残って出棺を見送るようにしましょう。
故人をのせた霊柩車が動き出したら、合掌して心から故人のご冥福をお祈りします。
神式=葬場祭・告別式
通夜祭と同様に手水の儀を行ってから入場します。
神職がお祓いをし祭詞を奏上しますので、順次玉串奉奠・拝礼を行います。
式終了後は故人のご冥福を祈り出棺を見送りましょう。
キリスト教=葬儀・告別式
聖歌(賛美歌)を合唱し献花をして哀悼の意を表しましょう。
出棺を見送るようにしましょう。霊柩車が動き出したら、心から故人のご冥福をお祈りします。
香 典
香典とは線香や花などの代わりとして故人の霊前に供えるもので、通夜や葬儀の時に香典袋に入れて持参し受付で渡します。
表書き
香典の表書きは宗教によって異なりますので前もって確認し記入します。
表書きの下には自身のフルネームを薄墨の筆ペンなどで記入します。
宗 教 | 表書き |
仏 式 | 御香典・御霊前 |
神 式 | 御玉串料・御榊料・御霊前 |
キリスト教式 | 御花料・御ミサ料・御霊前 |
御霊前は各宗教に共通して使用することが出来るようです。市販されている香典袋には、名前を書いて貼り付けるように表書きがかかれた短冊が同封されていたり袋自体に印刷されているものもありますので、それらを使用すれば問題ないでしょう。
お札の入れ方
お札の入れ方にもマナーがあります。
特に以下の2点はよく言われることですので注意しましょう。
お札は裏向きに
お札には表と裏がありますが、香典袋に入れるときには裏向きにそろえていれます。具体的には人物が書いてある面を下に向けて入れるようにします。
新札は使わない
葬儀などお悔やみ事では、事前に用意していたような印象を避けるため基本的に新札は使いません。どうしても新札を使用しなければならない場合は、一度折り目を付けてから包むようにします。
香典の金額
香典とする金額はおおよそ下の表のようになっているようですが、実際には故人との間柄や自身の年齢などにより違ってきますので身上の人に相談してみるといいでしょう。
香典の相場 | |
祖父母 | 10,000円~30,000円 |
親 | 50,000円~100,000円 |
兄弟姉妹 | 30,000円~50,000円 |
おじ・おば | 10,000円~20,000円 |
その他の親戚 | 5,000円~10,000円 |
勤務先関係 | 5,000円~10,000円 |
取引先関係 | 5,000円~10,000円 |
友人や友人の家族 | 5,000円~10,000円 |
近所の人 | 5,000円~10,000円 |
上記以外の人 | 3,000円~10,000円 |
宗教ごとの儀礼
お通夜や葬儀で行う儀式ではその宗教独自の儀礼があります。
ここでは宗教儀式で重要ないくつかの儀礼についてその作法を確認しておきましょう。
仏式葬儀
焼 香
香の煙によって供養するのが焼香で、一般的には喪主・遺族・参列者と、故人と関係の深い順に行います。通夜では僧侶の読経中に焼香することが多いようです。
礼拝の後3回香をつまみ焼香をすることが多いですが、宗派によっては回数や作法は異なります。
焼香の作法
遺族に一礼
⇩
焼香台の手前まで進み遺影に向かって一礼
⇩
焼香する(1~3回)
⇩
合掌する
⇩
数歩下がり遺族に一礼
焼香の回数
宗派 | 焼香の回数 | 香を額に近づけるかどうか |
天台宗 | 定めなし | 近づける |
浄土宗 | 定めなし | 近づける |
臨済宗 | 通常1回 | 近づける |
浄土真宗本願寺派 | 通常1回 | 近づけない |
曹洞宗 | 通常2回 | 近づける |
浄土真宗大谷派 | 通常2回 | 近づけない |
真言宗 | 通常3回 | 近づける |
日蓮宗 | 通常3回 | 近づける |
神式葬儀
手水の儀
身を清めるために行います。柄杓(ひしゃく)に入れた水を左手・右手・左手の順にかけ、最後に左手にかけた水で口をすすぎます。
手水の儀の作法
⇩
左手で口をすすぐ
⇩
懐紙で手を拭く
玉串奉奠(たまぐしほうてん)
仏式の焼香にあたるもので、玉串に自分の心をのせ神に捧げるという意味がこめられています。玉串とは榊の小枝に紙垂(しで)をつけたものです。
玉串奉奠の作法
玉串を受け取る
(このとき葉先が左になるように左手は下から右手は上から受け取ります)
⇩
玉串の柄を手前に回し正面にかまえる
⇩
葉先が右、柄が左になるように回す
⇩
柄が霊前に向くように回す
⇩
祭壇に両手で供えて拝礼する
拝 礼
二礼・二柏手・一礼の順で行います。ただし、柏手を打つ時は音を立てないように気をつけます。
拝礼の作法
二 礼 : 2回深くお辞儀をする
⇩
二拍手 : 2回柏手を打つ
(このとき音を立てないようにします)
⇩
一 礼 : 1回深くお辞儀をする
キリスト教葬儀
献 花
本来キリスト教のにはない儀礼でしたが、仏式の焼香にかわるものとして行われるようになりました。祭壇の前に一人一人がカーネーションや菊などの花を捧げ故人を弔います。
献花の作法
遺族に一礼
⇩
花が右を向くように受け取る
⇩
花が手前になるように回す
⇩
遺影に向かって一礼
⇩
献花台に両手で捧げる
⇩
うしろにさがって一礼
さいごに
今回はタイトルのとおり「お通夜」や「葬儀」での覚えておきたい最低限のことを確認しました。
出来るだけ不幸の連絡はない方がいいのですが、実際には一定の年齢を過ぎると徐々にそういった機会が増えてきます。
もしもの時に慌てることの無いよう基本的なことだけでも覚えておきましょう。