最近では腕時計の電池交換をする工具が手軽に入手できるようになりました。
「腕時計」「電池交換」「自分」などのワードを組み合わせてネット検索すれば、電池交換の作業工程を紹介しているページをたくさん見つけることもできます。
おかげで自分で電池交換にチャレンジすることは容易になったのですが、扱う相手は精密機械ということもあり少しのミスで取り返しのつかないことになってしまうケースもあるようです。
そこで今回は、自分で電池交換にチャレンジするならば絶対に注意するべきことを各工程ごとにまとめてみます。
自分では電池交換できない腕時計としないほうがいい腕時計
いくら工具が手に入りやすくなったり作業方法がネットで調べられるようになっても、どうしても自分では電池交換できない時計やしないほうがいい時計はあります。
まずはそのような時計をいくつか確認しておきます。
ソーラー式やソーラー電波式の腕時計
ソーラー式時計は一般的なクオーツタイプの時計と違い二次電池を入手することが難しいためほとんどの場合自分では電池交換できません。
もし二次電池が入手できたとしても、太陽電池ユニットを壊してしまう心配がありますので自分では電池交換しないほうがいい腕時計ということになるでしょう。
パーペチュアルカレンダーの腕時計
パーペチュアルカレンダーの腕時計は、電池切れで完全に止まってから電池交換する場合、内部回路を一旦リセットしてあらためてカレンダーをセットする必要があります。
竜頭を操作してセットするものと違い特殊な操作が必要になりますので、専門店に依頼したほうが無難でしょう。
防水性能の高い腕時計
防水性能の高い腕時計は、電池交換自体はそれほど難しくないものも多いですが、裏ブタを閉める際パッキンの処理などを間違えると防水性能が落ちてしまいます。
性能を維持するためには、少し高価になりますが防水検査もあわせてメーカーや設備のある専門店に依頼すべきでしょう。
その他にも、「金メッキが薄く少しのミスでも大きなキズがついてしまうもの」や「専用の工具でなければ蓋を開けることができないもの」など、自分では電池交換できないものやしないほうがいいものがありますので作業前にはよく確認する必要がありそうです。
腕時計の裏蓋を開けるときの注意
ここからは、自分で電池交換可能と判断できた時の各工程での注意点を考えてみます。
まずは裏蓋を開けるときです。
この工程では余程のことがない限り致命的なミスを犯すことはありませんが、工具を滑らせケースにキズをつけてしまう失敗はよくあることです。
ごくごく稀にですが、こじ開けタイプの腕時計ではコイルにキズをつけ使い物にならなくしてしまうこともあります。
こじ開けタイプ
裏蓋にツメや溝がありケースとの間に隙間があるタイプの場合「こじ開け器」をそこに差し込み蓋を開けます。
「こじ開け器」は100円ショップで購入することができますし、ネット通販を利用すれば先端の形状が異なるものがいくつかセットになったものを手に入れることもできます。
こじ開けタイプの裏蓋を開けるときに注意すること
- ケースや裏蓋にキズをつけてしまう
作業時にこじ開け器を滑らせケースや裏蓋にキズをつけてしまうことがあります。 - ムーブメントにキズをつけてしまう
作業時に力を入れすぎてしまった場合、こじ開け器の先端がケースの奥まで入り込みムーブメントをキズつけてしまうことがあります。
ネジ留めタイプ
裏蓋がネジ留めされている時計は「精密機械用ドライバー」を使用して蓋を開けます。
工具は100円ショップのものでも十分でしょう。
ネット通販では、精密機器で使用されることが多いマイナスドライバーだけがサイズ違いでセットされた商品を見つけることもできます。
ネジ留めタイプの裏蓋を開けるときに注意すること
- 裏蓋にキズをつけてしまう
ドライバーを滑らせ裏蓋にキズをつけてしまうことがあります。 - ネジ山を崩してしまう
ネジ山が錆びてしまっているネジを無理に開けようとしたりサイズの合っていないドライバーを使用したりすると、ネジ山を崩してしまい蓋を開けられなくなってしまうことがあります。
スクリュータイプ
画像のように裏蓋外周にくぼみが付いた時計のほとんどは「裏蓋オープナー(側開器)」を使い蓋を回転させて開けます。
「裏蓋オープナー」は簡単なつくりの物であれば100円ショップでも販売されていますが、ネット通販であればよりしっかりした物を1,000円ちょっとで購入することができます。
スクリュータイプの裏蓋を開けるときに注意すること
- ケースや裏蓋にキズをつけてしまう
裏蓋オープナーを滑らせケースや裏蓋にキズをつけてしまうことがあります。
腕時計の電池を交換するときの注意
作業の肝の工程ということもあり注意する点が多くあります。
電池寿命を短くしてしまったり時計を使用できなくしてしまったりするリスクがある工程ですので、自分で行う場合には細心の注意で作業する必要があるでしょう。
- 電池をショートさせてしまう
素手で電池の+と-をつまんだり、画像の誤った持ち方のように電池の上下(+-)をつまんでしまうと電池がショートしてしまいます。
誤った持ち方
正しい持ち方
- 電子部品にキズをつけてしまう
工具で露出しているコイルなどにキズをつけてしまい壊してしまうことがあります。
例)画像のムーブメントでは赤丸部の穴にピンセットのような先のとがったものをさしこみ外側(画像右側)に広げ電池を外すのですが、工具が外れ右側に滑らせてしまうことでコイルをキズつけてしまうことがあります。
- 針が緩んだり外れてしまう
ムーブメントと文字盤を固定する白いパッキンが電池をカバーしている場合これを外さなければならないのですが、その時まれにムーブメントが電池と一緒に動いてしまい文字盤との間に隙間ができ針が緩んだり外れてしまったりすることがあります。
電池を外すだけでも無理に外そうとするとムーブメントが一緒に動いてしまうことがあります。
- 電池を抑える板やそれを留めるネジを紛失してしまう
電池を板で固定しているタイプのものでは、ネジを外すときに誤って板やネジを飛ばして紛失してしまい、交換後の電池を固定できなくなることがあります。
- リセットを忘れ正常に動かなくなる
クロノグラフなど一部の時計では、電池交換後にリセットをせず作業を進めると時間が合わないなど正常に動かないことがあります。
腕時計の裏蓋を閉めるときの注意
裏蓋を開けるときと同じく致命的なミスをしてしまう可能性は少ない工程ですが、リスクが全くないわけではありません。
リューズを破損して時刻合わせができなくなってしまう可能性などがありますので注意します。
こじ開けタイプ
こじ開けタイプの裏蓋を閉めるときに注意すること
- リューズの心棒(巻き芯)を破損してしまう
画像のように裏蓋の切込みと竜頭の位置を合わせるなど正しい向きで裏蓋を閉めなかった場合リューズの心棒(巻き芯)を破損してしまうことがあります。
- 裏蓋が閉まらないことがある
裏蓋がかたく素手では閉めることができないことがあります。 - 風防が割れてしまう
裏蓋が手で閉められないときには次のような工具などを利用しますが、使用方法を間違えると風防にキズをつけたり割ってしまったりすることがあります。
ネジ留めタイプ
ネジ留めタイプの裏蓋を閉めるときに注意すること
- 裏蓋にキズをつけてしまう
開けるときと同様に、ドライバーを滑らせ裏蓋にキズをつけてしまうことがあります。
スクリュータイプ
スクリュータイプの裏蓋を閉めるときに注意すること
- ケースや裏蓋にキズをつけてしまう
開けるときと同様に、工具を滑らせケースや裏蓋にキズをつけてしまうことがあります。 - パッキンがずれてしまう
パッキンをきちんとした位置にセットせず裏蓋を閉めてしまうと、ずれたりよれたりして破損してしまうことがあります。
さいごに
今回は電池交換を自分で行う場合に起こりうるリスクについてまとめてみましたが、この記事で書いたこと以外にもまだ注意すべきことはあるでしょう。
最近は本格的な工具を購入しなくても1,000円ちょっとで腕時計用の工具セットを入手できるので自身でチャレンジする人も多いようですが、場合によっては使用できなくなってしまうようなリスクがあることも理解しておくことは重要でしょう。
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裏蓋を開けるとき腕時計を手に持って作業すると、まれに時計が安定せず工具を滑らせキズをつけてしまったり手をけがしてしまったりすることがあります。
腕時計を固定させる腕時計保持器を使用すればそのようなことに備えることができます。