退職には大きく分けて「会社都合退職」と「自己都合退職」の2種類があります。
どちらに該当するかによって退職後に受けることができる社会保障などに違いがありますので、退職を考えている人にとってはぜひ確認しておくべき内容です。
会社都合退職と自己都合退職の違い
退職理由は会社が発行する離職証明書に記載された内容を基準にハローワークで「会社都合退職」「自己都合退職」のいずれかが判断されます。
離職証明書は退職者からの異議や書類上の不審な点等がなければ記載された内容のまま受理され退職理由が確定します。
「会社都合退職」と「自己都合退職」では以下のような違いがあります。
会社都合退職
「会社都合退職」は、主に会社側の都合に起因する退職のことをさします。
会社の倒産や会社の業績悪化による人員整理、解雇など一方的に契約解除される場合や、会社からの退職勧奨に応じた合意退職などがこれに該当します。
加えて勤務地や勤務時間が入社時の契約と大きく違った場合や、パワハラやセクハラなど何らかの不当な扱いを受け退職を余儀なくされた場合なども含まれるようです。
会社都合で退職した人は雇用保険の「特定受給資格者」と呼ばれます。
自己都合退職
「自己都合退職」は、主に本人の意思による退職のことをさします。
結婚や転居、病気や介護など家庭の事情による退職や自身のキャリアアップの転職を理由とした退職など、「会社都合退職」にあてはまらないほとんどの退職は「自己都合退職」になります。
退職理由が会社都合か自己都合かによって変わること
退職理由が会社都合か自己都合かによってそれぞれ退職時や退職後にメリットやデメリットをもたらします。
特に退職手当・求職者給付・再就職の3つの面で大きな違いがあるようです。
退職手当(退職金)
(^^) 会社都合退職
会社都合退職の場合、定年退職時に次いで退職金を多く支給する会社が多いようです。
(-_-) 自己都合退職
自己都合退職では多くの場合、会社都合退職に比べ退職金が減額されるようです。
求職者給付(失業手当)
(^^) 会社都合退職
雇用保険では会社都合退職者は「特定受給資格者」と呼ばれ、過去1年間で6カ月以上雇用保険に加入していれば受給対象となり、自己都合退職に比べ下記のような優遇があります。
- 基本手当が支給されるまでの給付制限がない
自己都合退職では基本手当の支給までに7日間の待期期間に加え3か月の給付制限期間が経過するまで待たなければなりませんが、特定受給資格者は7日間の待期期間終了後すぐに基本手当が支給されます。 - 基本手当の給付期間が長い
一部の条件下を除き自己都合退職に比べ基本手当を受給できる期間が長くなります。 - 給付金額が多い
給付期間が長いため同じ条件では給付金額が多くなります(一部を除く)。
(-_-) 自己都合退職
受給するためには過去2年間で12カ月以上と会社都合退職より長い期間雇用保険に加入している必要があります。
- 基本手当が支給されるまでに給付制限がある
基本手当の支給までに7日間の待期期間に加え3か月の給付制限期間があり、それらが経過するまで基本手当が支給されません。 - 基本手当の給付期間が短いため給付金額が少ない
会社都合退職の最長給付期間が330日であるのに対し自己都合退職は150日と短い設定になります。
そのため必然的に給付金額も少なくなります。
再就職
(-_-) 会社都合退職
履歴書等に「会社都合による退職」と記載した場合、面接時にその詳細について質問される可能性が高くなります。
(^^) 自己都合退職
履歴書に前職の退職理由を書く場合「一身上の都合」として記載すればよいので、会社都合に比べ退職理由をあまり深く聞かれない傾向があります。
さいごに
「会社都合退職」か「自己都合退職」か。
退職の理由によって、退職金・退職後の求職者給付(失業手当)・再就職などで違いが生まれることがわかりました。
退職は新たな生活を始めるための大切な区切りとなりますので、後悔の無いよう細かい部分にまで注意を払って準備したいものですね。
会社都合の退職であるにもかかわらず「経歴のため」などといった理由で自己都合退職を促される場合もあるようですが、安易に従ってしまうと雇用保険の面など退職後に不利益を被るケースもあります。
慎重に判断して望まないのであればはっきり断りましょう。
形式上など、どうしても退職届を書かなければならない場合は、通常なら「私事、一身上の都合により」と書くところを「貴社退職勧奨により」とするなど、会社都合の退職であることがわかるようにしておくとよいかもしれません。