介護と医療にかかる費用を軽減できる「高額医療・高額介護合算療養費制度」についてしらべてみた

医療や介護にかかる費用を軽くするための制度には「高額療養費制度」「高額介護サービス費支給制度」「介護保険負担限度額認定証制度」などがありますが、条件が合えばそれらとあわせて利用できる軽減制度に「高額医療・高額介護合算療養費制度」があります。
今回は「高額医療・高額介護合算療養費制度」が一体どんな制度なのかしらべてみました。

高額医療・高額介護合算療養費制度とは

『高額医療・高額介護合算療養費制度』とは、世帯に介護保険の受給者がいる場合、医療保険と介護保険の自己負担額の合計金額が世帯単位で「自己負担限度額」を超えた場合に、超えた分の金額が支給される制度です。

医療費は公的医療保険の『高額療養費制度』、介護サービス費は介護保険の『高額介護サービス費制度』によって1ヵ月単位で負担軽減ができますが、『高額医療・高額介護合算療養費制度』が利用できればさらに負担を軽くすることができます。

『高額療養費制度』や『高額介護サービス費制度』は1ヵ月単位で負担上限が設定されていますが、『高額医療・高額介護合算療養費制度』は1年単位(8月~翌年7月)での計算となります。

 

高額医療・高額介護合算療養費制度による自己負担限度額

『高額医療・高額介護合算療養費制度』により還付対象となる自己負担限度額の基準額は、現役世代といわれる70歳未満が年額67万円、後期高齢者医療制度対象の70歳以上が年額56万円となりますが、実際には年齢や世帯ごとの所得によって異なります。
それぞれの上限額をまとめたのが下の表になります。

70歳未満の自己負担限度額

区 分 自己負担限度額
住民税非課税世帯 34万円
年収約156万円 ~ 約370万円
(課税所得145万円未満)
60万円
年収約370万円 ~ 約770万円
(課税所得145万円以上380万円未満)
67万円
年収約770万円 ~ 約1,160万円
(課税所得380万円以上690万円未満)
141万円
年収約1,160万円以上
(課税所得690万円以上)
212万円

70歳以上の自己負担限度額

区 分 自己負担限度額
住民税非課税世帯(低所得Ⅰ) 年金収入80万円以下等 19万円
ただし介護サービス利用者が世帯内に複数人いる場合は31万円
住民税非課税世帯(低所得Ⅱ) 31万円
一 般 年収約156万円 ~ 約370万円
(課税所得145万円未満)
56万円
現役並所得者Ⅰ 年収約370万円 ~ 約770万円
(課税所得145万円以上380万円未満)
67万円
現役並所得者Ⅱ 年収約770万円 ~ 約1,160万円
(課税所得380万円以上690万円未満)
141万円
現役並所得者Ⅲ 年収約1,160万円以上
(課税所得690万円以上)
212万円
表を見てみると70歳未満では年収約770万円、70歳以上では年収約370万円以上になると自己負担限度額は基準額よりも多くなるようです。また、年収約370万円からは年齢による自己負担限度額の違いがなくなることがわかります。

 

高額医療・高額介護合算療養費制度の対象にならないケース

医療・介護に関する費用負担を軽減できる『高額医療・高額介護合算療養費制度』ですが、全ての医療費や介護費用がこの制度での合算対象になるわけではありません。あたりまえのことですが、高額療養費や高額介護サービス費の対象にならない費用はこの合算制度の適用を受けることはできません。他にも下のようなケースでは対象外となりますので確認しておく必要があるでしょう。

公的医療保険

  • 高額療養費で支給される部分
  • 入院時の食事代・差額ベッド代など

介護保険

  • 高額介護サービス費で支給される部分
  • 自身が認定された要介護区分の支給限度を超えて利用したサービス費
  • 福祉用具購入費・住宅改修費の自己負担分・施設での食費など

公的医療保険・介護保険共通

  • 年間自己負担限度を超えた額が500円未満の場合
  • 公的医療保険と介護保険の両方を利用していない場合
  • 合算したい費用が同一の医療保険ではない場合

 

高額医療・高額介護合算療養費制度を利用するには

高額医療・高額介護合算療養費制度を利用するためには、基準日(毎年7月31日)時点で加入している医療保険によって、住居地の市区町村役場や協会けんぽなどの医療保険者に申請する必要があります。

申請に必要なもの

申請に際しては以下のようなものが必要になります。

  • 申請書
  • 自己負担限度額証明書
  • 印鑑
  • 被保険者証

その他、通帳など振込先口座を確認できる書類が必要になる場合があります。

「自己負担限度額証明書」は市区町村役場の担当窓口で交付してもらえます。
この書類が必要になるのは、国民健康保険や後期高齢者医療制度以外の医療保険に加入している人などです。

申請期間

高額医療・高額介護合算療養費制度を利用するためには、基準日(毎年7月31日の翌日)から2年間の申請期限中に申請する必要があります。
ただし、被保険者が亡くなってしまった場合は上記基準日を死亡した日として計算します。

申請に際して注意すべきポイント

高額医療・高額介護合算療養費制度を利用するために注意すべき点がいくつかあります。場合によっては対象にならない場合もありますので確認しておきましょう。

  • 医療費と介護費用を合算して計算する高額医療・高額介護合算療養費制度は、同じ世帯の家族でも、同一の医療保険に加入していないと合算の対象にはなりません
  • 算定期間は毎年8/1から翌年7/31までの1年間です。
  • 算定期間中ずっと「国民健康保険」や「後期高齢者医療制度」に加入してた人には、「高額医療・高額介護合算療養費制度」が利用できそうな場合に市区町村役場から通知が届きますが、それ以外の人には基本的に通知がありませんので自分で確認する必要があります。
  • 被保険者が亡くなっている場合は相続人代表者が申請します。

 

さいごに

今回は医療費や介護費そが高額になってしまったときに使える『高額医療・高額介護合算療養費制度』についてしらべてみました。
この制度を利用するためには自分で申請を行う必要があるため少し面倒に感じる面もありますが、もしもの時に家計にかかる費用負担を軽減できるかもしれないものですから是非覚えておきたい制度といえるでしょう。

参照:厚生労働省公式サイト・高額医療・高額介護合算療養費制度について
⇒ 厚生労働省ホームページ

 

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